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受講者の声 看護師・助産師コース

受講者の声

遠藤 佑子 様
兵庫県立西宮病院 看護師・助産師
神戸大学大学院保健学研究科 博士後期課程
大阪市立大学医学部看護学科 特任講師
遠藤 佑子 様


流産・死産の場合、誕生を心待ちにしていた児の死を突然に告げられ、パニック状態で出産し翌日には退院を迎えます。私は助産師として「一体なにができたのだろう?」と無力感で一杯になり、ご家族は「その後、どう過ごされているのだろう?」と気掛かりで仕方ありませんでした。病院で取組むグリーフケアとしての、手型・足型・家族写真などの思い出作りだけが「本当のグリーフケアなのだろうか。そもそもグリーフケアってなんだろう。」と深く考えるほど、いかに私がグリーフについて無知だったかを認識させられました。流産・死産されたご家族へのケアの充実を目指し大学院で研究に取組む中でも、このままでは誰の役にも立てないことを痛感しました。悲しみの中にある人に専門家として寄り添うために、まず私がグリーフを十分理解しておかなくてはならないと思い、迷わず受講を決めました。

当協会では職種別にコースが設けられており、少人数制でじっくりディスカッションしながら学べるところが非常に良かったです。他職種で話し合う機会も大切ですが、看護職者同士だからこそ事例を具体的な場面まで深く掘り下げ、現場ですぐに活用できる関わり方や注意点などの気づきを与えていただけたのだと思います。幅広いバックグラウンドをお持ちの先生方が、様々な切り口からグリーフについて奥深い講義をしてくださり、ディスカッションの機会を大切にしてくださいました。少人数でじっくり話し合うことで、これまで自分がおこなってきたケアを見直す機会にもなりました。またあらゆる分野で活躍されている受講者の方々の経験からの学びも大きく、それぞれ違った分野におけるグリーフとその課題について幅広く学ぶ貴重な機会となりました。

悲嘆の中にある人に寄り添うことは知識を習得すればできるものではなく、人間力そのもの。決してマニュアルにはできません。お一人おひとりがもともと持っている力を信じて、傍に居ること、できることは何もないような場合でも決して逃げないこと。どんなに辛い喪失体験であっても、事実は変えられないが捉え方を変えることはできる。あらゆる喪失体験から目を背けずにしっかり向き合い、時間をかけて意味を再構築することを見守ることだとわかりました。本当の意味で生命と向き合う心構えと、相手の話をしっかり聴くということを理解することができました。また講義を通して自分自身のグリーフとも向き合い、私の死生観を見つめなおすことができました。私の人生においてもとても貴重な時間でした。人間味あふれる素晴らしい先生方をはじめ全国各地から患者様の事を思う暖かい心を持った受講生のみなさん、親切で暖かく迎え入れてくださる協会スタッフのみなさんとの出会いは、有難い宝物です。

今後は、ここで学んだことを実践に活かし一人でも多くの流産・死産を経験されたご家族への支援に役立てていきたいと思います。今という有難い時間を大切にしながら、医療者である前に一人の人間として心ある態度と行動が自然に取れるよう努めていきたいと思います。そしてこれからも奥深いグリーフについて学び続けていきたいと思います。



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